3Dプリンターと重力

3Dプリンターの最も革命的な能力は、素材さえあれば、必要に応じて、必要な場所で部品を作ることができることです。

アポロ13が奇跡的に地球に帰還できたのは、宇宙船の中にあった適当なものを使って、二酸化炭素フィルターを機能させることができたためです。

今、現代人が考えれば、そんなの3Dプリンターがあれば即解決じゃん!と思うかのしれません。がしかし、ほとんどの3Dプリンターは、重力なしには造形が不可能です。唯一、完全な無重力、あるいは微細重力下で、造形ができる可能性があるのはFDM形式だけでしょう。

FDMプリンター

しかし、FDMプリンターでも、1G環境下と同様には造形はできないでしょう。より密着性の高い、ラフトの構造。 サポートは不要になるかもしれませんね。エクストルーダーの押し出しスピード、フィラメントが、溶けた状態の流動性、プリンターヘッドの慣性力によっては、ノズルの開閉弁をつけて素材の出し入れを完全にコントロールする必要があるでしょう。

つまり、根本的な機構の再設計なく、ある程度の成果を得ることができるでしょう。

SLAプリンター

重力によって造形用レジンが、常に下に溜まっていることが必要です、1G下の条件では、造形テーブルと造形用レジンを常に均一に面することができますが、無重力下では、造形用レジンは表面張力によって球状になってしまい、レイアー別に紫外線を当ててキュアさせていくプロセスが全く機能しないでしょう。

SLSプリンター

粉末化された素材が、常に、均一の重力下で、造形チェンバーで安定していることが、重要です。また、素材は微細な粉末になっており、粉末が、コンテナーから漏れると無重力下では人体にとって命に係わる重大な事故になるリスクがあります。プリンターを動かす電力も大きいので、ネガティブな点です。

微小重力下

月面や、火星など、1Gには満たないが、多少重力があれば、これらのプリンターも十分活用可能だ。SLAやSLSでしか実現できない造形、素材もあり、コストの許す限りで、人工重力などを活用して活用されていくだろう。

人工重力の利用

天体上での3Dプリンター

むしろ、3Dプリンターを最も高いプライオリテイで、これらの天体に送り、人間の居住スペースを構築するために、積極的に利用されるだろう。

住居を3Dプリンターを用いて作るメリットは、短時間で、その場にある素材を使って、安価に堅牢な構造体を構築できることと、人間の関与が最低限に出来るので、極限地域での構造物構築に最適なことである。

3Dプリントによる住宅建築

は、従来早いといわれていた、プレ・ファブリケーション工法と比較しても、格段に安価、短時間に住宅を建築することができるため、貧困問題や、難民の生活環境向上の視点からも、注目されている。

2020年の3Dプリンターで印刷された家6例

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