CADデザイン
ターボチャージャーは二種類のタービンで出来ている。一方は熱膨張するエネルギーを十分に残した排気ガスを受け、バキュームインペラーを回すエネルギーを回収するタービン。
もう一方は大気を吸引してハウジングの壁に激しく空気を遠心力でぶつけて大気圧以上の圧縮空気を作る出すバキュームインペラー。今回はバキュームインペラー側のみを作る。しかも動力は、高温排気ガスではなく電動ブラシレスモーターだ。
このモデルを作る目的
今回の目的は、FDM3Dプリンターで作ったタービンブレードが、どれくらいの実用性を持つかの検証です。
バキュームインペラーは、また、タービンハウジングと組み合わせて初めて能力を発揮するのですが、タービン回転時のハウジングとの隙間が小さければ小さいほど良いという難しさがあります。
3Dプリンターで造形をするので、素材に多少無理があります。複雑な造形のブレードは遠心力で外側に広がる傾向がある一方、それを想定してインペラーとハウジングの隙間のクリアランスを”がばがば”に作ってしまえば圧縮機としての能力が落ちてしまいます。
特殊な留意点
今回は、動力源にブラシレスDCモーターを動力源にするため、インペラー内にモーターを組み込む条件があり、そのためインペラーの吸入側のブレード面積が広げられないというハンデがあった。
インペラは軽ければ軽いほうがいいのだが、コア部分のインフィルレート(充填率)を小さくしても、ブレード部分は、厚み的にインフィルが100%になってしまい、結構強力なジャイロ効果が出てしまった。
インペラーの形状
いわゆる富士山型になっており、吸引側で、強引に大気を掬い取った後、ブレードの遠心力によってハウジングに連続的にぶつけることによって圧縮効果をえて、その空気を排出口より吐き出すというのが大まかな仕組みだ。
ハウジングの設計
ハウジングは、とにかくインペラーとのクリアランスがキモだ。インペラーの形状に合わせて、一対のペアとして作らなければならず、できればあまりサポートを使いたくないが、形状的にサポート使用不可避なのが残念だったが仕方がない。
結論
今回、FDMでのバキュームインペラーの制作を通して、リアルなバキュームインペラーは、マテリアルの問題も精度の問題も併せて、別なマテリアルに合った方法を再度試そうと思いました。
1,排出口からの排気は十分なので、ブロワーとして使用するのには申し分ない
2,が、トレランスの問題で圧縮できた空気がいろいろな隙間から漏れ出すので空気の圧縮機としては不十分。
3,インペラー内のモーターの冷却性に問題がある。
上記の問題を解決したうえで次の試作を進めます。